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更新日:2019年9月13日

広報はすだ2019年9月号・特集(なくそう受動喫煙)

なくそう受動喫煙

受動喫煙を防止する取組みは、マナーからルールへ変わります。今月は、改正健康増進法で定める受動喫煙防止対策や、喫煙による健康被害について紹介します。

問合せ

健康増進課健康増進担当(電話)048-768-3111(内線)142

望まない受動喫煙から健康を守る

たばこの煙には、約5300種類もの化学物質が含まれ、そのうち人体に悪影響を与える発がん性物質が70種類以上もあります。喫煙が原因で発症した肺がんなどによる死亡者数は、世界で年間約500万人、受動喫煙では約60万人に上ると報告されていて、日本でも受動喫煙が原因で年間約1万5000人が亡くなっていると推計されています。喫煙者が吸う煙を主流煙、火のついたたばこの先から出る煙を副流煙といい、特に副流煙には有害物質が主流煙の何倍もの濃度で含まれています。受動喫煙とは、自分の意志に関わらず、副流煙や喫煙者が吐き出す呼出煙を吸ってしまうことを指します。受動喫煙によって、たばこを吸わない人も、気づかないうちにたばこの煙に含まれる有害物質の影響を受けてしまうのです。

受動喫煙を防止する取組みを強化するため、健康増進法が改正されました。7月1日から一部施行が開始され、子どもや患者、妊産婦など、特に健康への影響が大きい人に配慮して、学校、病院、児童福祉施設、介護老人保健施設、行政機関の庁舎等では原則敷地内禁煙となりました。

多くの施設が原則屋内禁煙へ

改正健康増進法は、令和2年4月1日から全面施行となり、飲食店をはじめとした多くの施設が原則屋内禁煙となります。また、屋外や家庭であっても、望まない受動喫煙が生じないよう配慮する義務があります。一人一人がルールを守り、受動喫煙を防ぎましょう。

改正健康増進法のポイント

多数の人が利用する施設、旅客運送事業船舶・鉄道、飲食店等は原則屋内禁煙となります。

20歳未満のかたは、従業員であっても、喫煙エリアへの立ち入りが禁止されます。

喫煙が可能となる各種喫煙施設があります。加熱式たばこに限定した喫煙室もあります。

喫煙室がある場合、必ず標識が掲示されます。

罰則の適用(過料)

義務違反時に指導、命令、罰則が適用されます。

受動喫煙のない社会を

市では、市役所、上下水道部庁舎(浄水場内)、消防署、消防署南分署の駐車場を含む敷地内を終日禁煙としています。受動喫煙防止のため、ご理解とご協力をお願いします。

庶務課管財担当(電話)048-768-3111(内線)294、水道課管理担当(電話)048-768-1111、消防課庶務係(電話)768-1020

知っていますかたばこの煙の危険性

百害あって一利なしたばこの三大有害物質

たばこの煙に含まれる有害物質の中でも、ニコチン、タール、一酸化炭素は、三大有害物質といわれています。血液を通じて全身に運ばれ、さまざまな健康被害を及ぼします。

ニコチン

血管を収縮させ血流を悪くし、心拍数の増加や血圧の上昇等を促進します。強い依存性があり、使用を止める困難さや離脱症状の厳しさなどにおいて、ヘロインやコカインなどの薬物と同等の特徴を有しています。

タール

肺を黒くするヤニの成分です。発がん性物質や発がんを促進する物質が数十種類以上含まれ、がんの原因になるとともに、肺の機能を低下させます。

一酸化炭素

血液中の酸素を運ぶ機能を阻害し、酸素不足を引き起こします。息切れ、運動能力の低下、動脈硬化などの原因となります。

受動喫煙では、がん、循環器系疾患、慢性呼吸器疾患など、さまざまな病気になるリスクが更に高まります。特に、妊産婦や乳幼児の場合、低出生体重・胎児発育遅延、乳幼児突然死症候群などを引き起こす可能性があります。

受動喫煙はこんなに危険!

受動喫煙と肺がん、虚血性心疾患、脳卒中の因果関係については、科学的根拠が証明されています。その他にも、口腔、咽頭、鼻腔、副鼻腔、食道、胃、肝臓、膵臓、ぼうこう、子宮頸部のがんとの因果関係もあるとされています。未成年の場合、がんや循環器疾患だけでなく、全死因の死亡リスクを増加させます。

たばこQ&A

どうして副流煙に含まれる有害物質のほうが多いの

たばこを吸うと、先端の火の部分に酸素が引き寄せられ、燃焼温度が上昇し、赤く光ります。この時、先端温度は900度にも達するため、主流煙の有害物質が分解された状態となります。フィルターを通して吸い込むため、有害物質は更に減少します。それに比べ、副流煙はフィルターを通さず、たばこの先端の温度は500度と低いため、多くの有害物質が分解されずに煙の中に残ったままとなります。

副流煙に含まれる有害物質は主流煙と比較してどのくらい多いの

三大有害物質の他にも、発がん性物質を含むさまざまな有害物質が、副流煙に多く含まれています。

加熱式たばこも健康に影響はあるの

加熱式たばこは、通常のたばこと同じたばこの葉が使用されています。主流煙に含まれる発がん性物質の含有量は、たばこに比べて少ないことが分かっていますが、中にはたばこと同程度のニコチンを含む製品もあります。そのため、健康被害へのリスクを高める可能性は否定できず、たばこの安全な代替品とはならないことが指摘されています。受動喫煙による健康被害についても研究が進められています。

Interview

市と包括協定を締結している日本薬科大学で、喫煙に関する調査研究を行っている教授の土井孝良さんにお話を伺いました。

日本薬科大学一般薬学部門教授薬学博士土井孝良さん

欧米では、喫煙は違法薬物への登竜門という意味の「ゲートウェイドラッグ」といわれ、更に「スモーキングキルズ(喫煙は人殺しだ)」という言葉があるほど、喫煙に対して強い警告がされており、吸わない人が受動喫煙を拒絶するのがあたりまえです。日本では、喫煙や受動喫煙がどれほど健康に悪影響を与えるかという注意喚起や教育が長い間されてきているにもかかわらず、禁煙化が進んでいません。日本の受動喫煙に対する規制等の整備は、世界的に見ても遅れをとっていることが世界保健機関(WHO)からも指摘されています(1)。6年制薬学部生全学年を対象に実施した喫煙に関する意識アンケート調査(2)では、「周囲のタバコの煙で不快な思いをした」という喫煙を否定する回答が学年が上がるにつれて増加しました。しかし、5・6年生の多くが非喫煙者であると回答したにもかかわらず、「タバコは嗜好品(味や刺激を楽しむ品)」という喫煙の嗜好性を肯定し、喫煙の文化性を容認する回答も増加したのです。このような喫煙を暮らしに根付いた行為であるとする「社会的ニコチン依存」が日本の禁煙化を遅らせている理由の一つだと考えています。

社会的ニコチン依存の原因が何かを探る

6年制薬学部に入学した1年生の喫煙に関する意識調査研究(3)では、母親が喫煙する場合に「医者はタバコの害を騒ぎすぎる」とした回答が増加し、兄弟姉妹が喫煙する場合に「タバコには効用(体や精神に良い作用)がある」及び「喫煙者の頭の働きを高める」とした回答が増加しました。喫煙する家族の存在が喫煙に対する意識を肯定的に導き、社会的ニコチン依存の背景となっている可能性が考えられます。「たばこは嗜好品だから」「喫煙する家族がいるから、多少自分が犠牲になっても…」と受動喫煙を許していませんか。「スモーキングキルズ」という主張を一人一人がすることが、受動喫煙防止の第一歩です。

(1)WHOでは、日本の受動喫煙対策を4段階評価の最低レベルとしています。平成25年までに世界49か国で屋内全面禁煙の法規制が施行されています。

(2)土井孝良、田村道、奈佐吉久、佐古兼一、齋藤博、原口一広「6年制薬学部全学年を対象とした喫煙に関する調査研究-喫煙の嗜好・文化性について-」日本薬科大学教育紀要、第5.巻、P42-46(2019)

(3)土井孝良、齋藤勝也、田村道、西川由浩、村井保之「6年制薬学部に入学した1年生の喫煙意識に関する意識調査研究-喫煙家族の影響-」第3回日本薬学教育学会大会講演要旨集、P-097(2018)

問合せ

広報広聴課広報広聴担当(電話)048-768-3111(内線)209

お問い合わせ

所属課室:広報広聴課広報広聴担当

埼玉県蓮田市大字黒浜2799番地1

電話番号:048-768-3111

内線:215