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更新日:2020年2月1日

タイムカプセルとなる貝塚

6号住居跡の貝塚内からは、『6号住居跡の成果から(出土獣骨)』の写真1や写真2のようにイノシシの歯や下顎等が発見されています。

写真1時06分号住居跡獣骨出土状況

写真16号住居跡獣骨出土状況

写真2時06分号住居跡出土獣骨

写真26号住居跡出土獣骨

(上段左から1列切歯?、犬歯、右P2、左P3、右P4、不明前臼歯、下段左頭骨(裏面)?、肋骨?)

貝塚からは、普通の遺跡の調査では発見されないような様々な遺物が貝殻のカルシウム成分によって守られて発見されます。市内の貝塚からは、代表的なシカ・イノシシ等の他、哺乳類6種類、鳥類1種類、甲殻類2種類、魚類12種類、貝類46種類が発見されています。

硬殻(カニ)類の「(ノコギリ)ガザミ」のハサミや足の先黒浜貝塚で発見されていますが(写真3)、現在の関東近辺には生息していないものです(写真4)。

写真3時06分号住居跡出土ガザミ(足先)

写真36号住居跡出土ガザミ(足先)

写真4:ガザミ現生標本

写真4:ガザミ現生標本

なお、「ガザミ」の生息域は、海水と真水の混じりあう汽水域の泥質帯域です。このことから、当時の黒浜貝塚周辺が海水と真水の混じりあう水域で細かい泥が堆積していた環境であったことがわかります。これは主要貝種からも同じ環境であることが示されています

貝塚から発見されるその他の遺物

貝塚からは、これらの他に炭化物も良好な状態で発見されます。写真5は6号住居跡の貝塚から発見された「クルミ」の殻が炭化したものです。他の遺跡でも貝塚内から「クルミ」の炭化物が数多く発見されています。

写真5時06分号住居跡出土炭化クルミ

写真56号住居跡出土炭化したクルミ

このことは殻を燃料としても再利用していたことを示しており、ここにも縄文人の現代に通じる『リサイクル性』が感じられます。

遺跡内から発見された様々な道具

黒浜貝塚からは、これらの他にも様々な道具類が発見されています。石器類では「狩猟用の石鏃(せきぞく:やじり)、「肉類加工用の石匙(いしさじ:ナイフ)」、「伐採道具の磨製石斧(ませいせきふ:おの)」、「土掘り道具の打製石斧(だせいせきふ:シャベル)」、「木の実類加工用の石皿(いしさら)、磨石(すりいし)、敲石(たたきいし)」等が発見されています。

この他にも、貝塚遺跡に特徴的な「軽石製の浮子(うき)」(写真6)も発見されています。中にはツマミ状の把手(とって)が付き、この上に螺旋状の模様が刻まれた装飾的なもの(右)も天神前遺跡から発見されています。「浮子」は魚釣り等に使用されていたと思われ、将来「釣り針」も発見されることでしょう。

写真6:軽石製の浮子(うき)

写真6:軽石製の浮子(うき)(県指定考古資料

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